2020 October

 

   
 
 
国立西洋美術館に行くのは何ヶ月ぶりだろう?コロナ以降、長く続いた臨時休館を経てようやく予約制で再開したロンドン・ナショナル・ギャラリー展。会期終了真近とあって大変な混雑、それでも各自がソーシャル・ディスタンスを守って静かに列が進むのはさすが日本人。ゴッホのひまわりを見るのは初めてロンドンに行った30年前以来、何とも感無量な西洋美術館再訪。

 

 

 
 
「松本コレクション」は指輪を中心とした素晴らしいコレクション、西洋美術館の常設展に展示されるようになったので毎回必ず見られるのは嬉しい。作品自体が小さく繊細なアクセサリーを大会場で展示するのはとても難しいけれど、拡大レンズで細部まで見られる配慮と美しいディスプレイも素晴らしい。

 

 

 
 
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展が終わると改装のために2年間の休館に入る西洋美術館。ようやく再訪が叶った途端の休館を前に久しぶりに常設展もゆっくり見る。2017年に松方家から寄贈されたというモネの水連、長くロダン美術館に預けられていた後、第二次世界大戦中はフランスの寒村に疎開、戦後は敵国人財産としてフランス政府に接収されるもその損傷の甚だしさから作品として扱われずリストからも消えて・・・。2016年にルーブル美術館で発見されたという壮大な歴史に思いを馳せつつ、デジタルで細部まで見られるテクノロジーの進歩にも感じ入る。

 

 

   
 
 
西洋美術館の中でもお気に入りの彫刻の展示室、中庭に面しているため自然光がふんだんに入る美術館の中では珍しいスペース。ロダンやブルーデルの彫刻がスポットライトと自然光の入り混じった光に映え何とも美しい。大会場より区切られた小さなスペースの方が作品の細部までゆっくり鑑賞できるように思うのは私だけだろうか。

 

 

 
 
 
子供の頃から建築家や染色家、様々な分野のアーティストに囲まれて育った私はいつも「何のデザイナーになるのか?」と自問自答していたように思う。中でも父の学生さんが大勢居たアトリエでお手伝いした「建築模型」は私の立体に対する感性を育むにはとても良いトレーニングだった。「構造」と言う分野に興味を持ったのもこの頃、期せずして構造の大家の先生とスキーをご一緒する幸運に恵まれ先生の御著書を拝読、嬉しいプレゼントに感激する。

 

 

   
 
 
銀座和光で「美の魁け 日展の現代」展を見る。絵画や彫刻、鋳金をはじめとする工芸や書、そのジャンルにおけるそれぞれの第一人者とも言われる作家の先生方の作品が一堂に並ぶ圧巻の展覧会。銀座の真ん中とは思えない静かなフロアに自然光が入り一つ一つの作品が威光を放つ、何とも贅沢な午後の時間が流れる。

 

 

   
 
 
expo index 子供の事からいつも近くにあった「銀座百点」、この小さな冊子に珠玉のエッセイや写真が散りばめられている素敵な小冊子。恭しいモノや大きくて重いモノは何となく野暮ったいと思ってしまう私にとっては「小粋で洒落た」と言う表現がぴったりな銀座百点、月毎の洒脱なお楽しみ。 page top

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